東京ディズニーリゾート(TDR)をビジネスの視点から分析する。

TDRは何故楽しいのか?その仕掛けをTDR好きの筆者が様々な視点からお話しします。

第21回:セイフティーについて(その3)

続き~

 機械設備面では、アトラクションはゲストの入園前には、必ず試運転がされて、安全性がチェックされています。また、パーク閉園後にメンテナンスが行われることは勿論ですが、それ以外にも定期的に社内の検査部門が設備のチェックをして、不具合がないかどうかを点検しています。TDRは年間無休ですから、こういうメンテナンスも全て閉園後の作業になり、ゲストの目に見えない努力がされているのが分かります。

 カストーディアルの動きにも安全性が配慮されています。

 皆さんは、カストーディアルが地面にこぼれたジュースを拭いている姿を見たことがありますか?普通ですと、地面にこぼれたジュースはモップ等でふき取りますが、TDRのカストーディアルの掃除の仕方は違います。カストーディアルは、こぼれたジュースを見つけたら、まず、地面のジュースの上に持っているペーパーを投げつけるように置きます。そして、そのペーパーを足でグイグイこすり付けて水分を吸い取り、そのペーパーを箒でダストパンの中へ鮮やかな手つきで取り込みます。一連の動きの中でカストーディアルはしゃがんだりすることなく、全て立ったままで行われます。見た目は、足で地面をゴシゴシしたりしているので、正直あまりお行儀が良くありませんし、折角のキャストの好印象が崩れてしまいかねないような仕草です。キャストは礼儀正しいんじゃないですかと言いたくなります。でも、そこに、ディズニーの安全性へのこだわりがあります。つまり、パーク内には多くのゲストが歩いていて、しかも、マップを見たり、スマホを見たりしながら歩きますので、足下まで注意が行き届きません。その時にたまたましゃがんだキャストがいたら、躓いて転んでしまうかもしれず、危険ですね。でも、立っていればそういうことはありません。つまり、礼儀正しさよりもゲストの安全性が優先されるという訳です。

 また、食事の後片付けの順序にも安全性は考慮されています。パーク内の食事はテラスでとられることも多く、ゲストの食事後は、テーブルの上や床にゴミが散乱しています。皆さんはどういう順序で掃除をしますか?普通考えると、まず、テーブルの上を掃除し、それから床を掃除した方が、テーブルの上のゴミが床に落ちるかもしれないことを考えると効率的です。しかし、ディズニーのカストーディアルの動きは違います。まず、足下、床の掃除をし、それからテーブルの上を掃除します。何故、非効率なのにそうするのでしょう。これも、行動規準を考えると自ずから分かります。つまり、ゲストの安全性を考えた場合はまず、床をきれいにして、ゲストが歩くときに邪魔になったり、すべったりするような危険な状況をなくす方が優先されるからです。

 それから、パーク内を歩いていると、カストーディアルがベンチやゴミ箱を手で丁寧に掃除をしているのを見かけることがあります。ベンチなんかは抱え上げて裏の方まで拭いたりしているんですが、これも単に掃除をしているということではないんです。つまり、手拭きで掃除をすることにより、どこか壊れているところがないかを点検しているんです。例えば、足が壊れそうなベンチを放っておくと、ゲストが座った時に怪我をするかも知れません。そういうことがないように、掃除をする際にあえて手で拭きながら点検をしながら行っているんです。

~続く