東京ディズニーリゾート(TDR)をビジネスの視点から分析する。

TDRは何故楽しいのか?その仕掛けをTDR好きの筆者が様々な視点からお話しします。

第20回:セイフティーについて(その2)

 前回は、設備面でのセイフティーをお話しましたが、今回は、行動面から見た安全性についてお話します。

まず、駐車場でのセイフティー。これは第10回でお話しましたが、事故を防ぐために、止める角度は60度で止めやすく、しかも、前から突っ込むようになっていますので、ドライバーが苦手とされる危険なバック運転をすることはありません。また、キャストが一台一台最後まで誘導してくれますので、非常に安全です。単純に効率性を考えるのであれば、ここまですることはないのですが、TDRでは、まず安全を最優先しているのでこのような対応に自ずからなるのだと思います。

次に、入園前のリスクチェックです。入園する前にはセキュリティチェックが必ず行われます。ゲストは全員、チェックゲートで係員の人に持ち込むバッグの中身を見せてチェックを受けなければ入園できません。毎日数万人のゲストが訪れる施設でここまでのチェックを始めたのはTDRが日本で一番初めではないかと思います。ゲストにとっては、多少面倒くさいと思われるかもしれませんが、ゲストが不安なく園内ですごすためには欠かせない行為と言えます。

 

それから、ちょっと意外に思われるかもしれませんが、TDRにとっては、天候もセイフティーとは切っても切り離せない大変重要なポイントです。

TDRは風に弱いテーマパークです。どういうことかというと、風が強い時はパレード、花火、更には屋外のショーまで中止になったり、内容が変更になったりすることがあります。雨に日にというなら分かるんですが、天気が良くても風が強いとダメなんですね。私もTDRに通っていた時には、風が強いとショーがあるのかないのかヤキモキしながら待っていたものです。

何故、風が強いとだめなんでしょう?

花火についてはお分かりと思いますが、強風で火の粉が流れて近隣の住宅街に迷惑をかけることになるので、中止になります。ちなみに、TDRは自分の消防車を2台持っていることは前回にお話しました。では、ショーやパレードは何故中止になったり、内容が変更になったりするのでしょう?それは、ショーやパレードでは、強風によってあおられてゲストに危険を及ぼすようなものを使用していることがあるからです。例えば、パレードの山車(フロート)ですが、高さのある山車(フロート)もありますので、強風で風をモロにくらうと倒れたりしてしまう危険性があります。また、ショーなどで、竹馬を使った背の高いキャストが出てきたりしますが、それも強風で倒れる危険性がありますので、そういうキャストはプログラムから除外され、折角の出演場面がなくなってしまうことがあります。こういう指示は、ショーやパレードの開始直前まで、各ショーの統括責任者が天気を見ながら判断し、指示をしています。天候の状態により、様々なプログラムが用意されており、統括責任者の指示により、瞬時にプログラムを変えて、ショーやパレードが行われるんですね。折角天気が良いのに、何で中止になるのと不満を抱えるゲストの方も多いと思いますが、全てはゲストの安全を守るためなのです。

そういえば、ここまでやるのと驚いたことがありました。

TDRの15周年の時のことです。毎週のように家族で通い、アドベンチャーランドのフィエスタトロピカールというショーを何度も見ていました。年パスでショーを見慣れてくると、先ほど言ったように天候によってショーの内容が少しづつ変わることが分かってきました。雨が降ると、途中であってもショーは中止になりますので大変残念でした。強風の場合は、ショーの内容が一部代わり、竹馬の人が出てこなかったりするんですが、それ以外にも、違いがあることに気付きました。それは、フィナーレでダンサーさんが小道具として持っている日傘なんです。普通の時は開いたままで使っていますが、強風の時は閉じたままでの演出に変更されていました。また、プルートの帽子も、普通はフルーツを持った籠のような大きな帽子が、強風時には、面積の小さな帽子に変わっていました。つまり、強風で傘や帽子が吹き飛んでゲストに危険を及ぼさないようにしているんだなということが暫くして理解できたものでした。

雨が降ってきたら、ショーはすぐさま中止になるんですが、これは雨で床が濡れてダンサーさんが滑るため危険だからということだと思います。強い雨だとあきらめがつくんですが、ショーが始まる前にポツリ、ポツリと降りだすとゲストとしてはショーが見たいので何とか持って欲しいと願うのです。そういう時、キャストの人達は、扇風機でステージを乾かしたり、床に這いつくばって雑巾で水分を拭き取ったり、ベンチを雑巾でふ拭いたり、総出で一生懸命やってくれていました。これも少しでもゲストの人達に喜んでもらいたいという気持ちの現われなんだなと思って感心と感謝の気持ちで見ていたものでした。~続く。