東京ディズニーリゾート(TDR)をビジネスの視点から分析する。

TDRは何故楽しいのか?その仕掛けをTDR好きの筆者が様々な視点からお話しします。

第16回:双方向コミュニケーション

 エントランスに入ると、まず、キャストが「こんにちは」と声を掛けてくれます。エントランスだけではなく、園内どこを歩いていても、キャストから笑顔で「こんにちは」「いってらっしゃい」と声を掛けられます。

 

 でも、通常、TDRのようなサービス業の挨拶はどこでも「いらっしゃいませ」ですよね。何故、TDRでは「こんにちは」なのでしょう?

 

 それは、自分で挨拶をして見れば良く分かるのですが、「こんにちは」と挨拶されると、こちらも、つい「こんにちは」って言いますよね。じゃあ、「いらっしゃいませ」と挨拶されるとどうでしょう。まあ、軽く「どうも」程度に会釈するくらいです。つまり、「こんにちは」と挨拶することで、ゲストと双方向の会話、つまり、コミュニケーションが生まれるんです。ゲストをおもてなしするのにコミュニケーションはかかせません。少しでもゲストとお話をすることで、ゲストへの関心を高め、おもてなしをする気持ちを伝えてるのです。

 

 ディズニーが双方向のコミュニケーションを如何に大事にしているかの例をいくつか挙げてもましょう。

 

 たまたま誕生月にゲストが入園して、キャストにその旨を伝えると、お誕生日シールがもらえます。それを胸に張っておくと、キャストが見つけるたびに、「お誕生日おめでとう!」と声を掛けてくれます。ゲストは皆にお祝いされてハッピーな気分になれます。これも双方向コミュニケーションをとることでゲストにハピネスを感じてもらうサービスです。

 

 次は、自動販売機です。現在、TDR(正確にはTDL)には自動販売機が3台設置してあります。しかし、数年前まで自動販売機はパーク内に1台もありませんでした。ゲストとしては、自動販売機があった方が便利と思うのですが、何故でしょう?これも、ディズニーのゲストとのコミュニケーションへのこだわりです。自動販売機では、機械で買ってしまうので、人と人が触れ合うことができません。それだけコミュニケーションが取れなくなってしまいますし、おもてなしができないからです。しかし、自動販売機がない弊害として、夏の暑い時に、ゲストがペットボトル一本買うのに長い列で30分も待たなければならないような状況になってしまったため、止むなく、自動販売機をパーク内に設置したのです。ただ、そこは、デイズニーらしいのですが、あくまでデザインは自動販売機らしくなく、それぞれのテーマランドに相応しいデザインの特別仕様になっており、商品が見えるスペースも極力小さくされています。現在、トゥモローランドには、ロボットの形をしたもの、ウエスタンランドには、木製のもの、ファンタジーランドには、ティーポットを模ったものがそれぞれ置いてあります。

 

 また、これも、あまり気づかないんですが、パーク内には普通の遊園地にあるような案内板があまりありません。ちょっと考えると、案内板が沢山あった方が親切のように思えますが、ディズニーの考えは違います。案内板がなければ、ゲストはキャストに尋ねます。そうすることでゲストのコミュニケーションが取れるきっかけとなるのです。しかし、もし、キャストが聞かれてもスムーズに応えられないようでは折角のコミュニケーションも逆効果になります。ですから、TDRでは、キャストに対し、パーク内の事を尋ねられても何でも対応できるよう徹底的に教育をしているのです。案内板がないのは、TDRで分からないことは何でもキャストに聞いて下さいというメッセージだと思います。