東京ディズニーリゾート(TDR)をビジネスの視点から分析する。

TDRは何故楽しいのか?その仕掛けをTDR好きの筆者が様々な視点からお話しします。

第13回:エントランスにも仕掛けが?

それでは、いよいよ入園です。

 

TDRの入口は、第5回のブログで触れたように一か所です。

東京ドーム50個分の広いエリアですから、普通であれば、入口が数か所ありますし、その方が、お客様にとっては便利です。例えば、TDRに車で行くと、混んでいる時は、入口まで歩いて10分や15分かかる場所に駐車することになります。ですから、当初、TDRに通い出した時は、何故、入口が沢山ないのだろうと思っていました。しかし、それは、ウオルトが映画人であるということを知って、謎が解けました。

 

私達が映画に行くとき、途中から入りますか?やはり、途中では、ストーリーが分かりませんから、当然、最初から見ることになります。ここなんです。TDRはテーマパークであり、そこにはゲストに感じてもらいたいストーリーがあります。ですから、ウオルトは、ディズニーランドも映画と同じように導入部分から見て欲しい、その為には、いくら混雑しても、入口は1か所でなければならないと考えた訳です。ウオルトの映画人としての非常に強いこだわりが入口に現われています。

 

入口に来ると、金属のバーがあります。ゲストは一人づつそのバーを押しながら入ります。バーを押すことでカウントされますので、今何人のゲストがパーク内にいるかを瞬時に知ることができます。そして、その人数によって、例えば、パレードの時間を調整したりとか、ゲストにとって効率の良いパーク運営ができるのです。

時には、キャパシティを越える時もあります。その時は、入場制限が行われます。私も、そういう場面に遭遇したことがありますが、遠くから子供を連れてやってきた家族が、いざ入ろうと思うと入場制限で入れないという状況を見ると、非常に悲しいものです。しかし、TDRにすれば、パーク内のゲストの安全を守り、楽しく過ごして頂くことが最優先ですから、如何なる場合も毅然とした対応がとられているようです。

 

バーを押すと、「シャリーン」という音が聞こえます。ほとんどのゲストは音には気づいていますが、それが何かは分からないまま通り過ぎていると思います。実は、この音は、ティンカーベルが魔法をかける時に棒を振ると妖精の粉が出る、その時の音なんです。つまり、バーを押してパーク内に入ったゲストはそこで魔法を掛けられて、夢と魔法の国へ入ったという仕掛けです。これもディズニー好きなら納得のこだわった演出です。

 

園内へ入ると、そこには、大きな丸い花壇があり、通常はミッキーの顔が花でデザインされています。そして、その花壇は、年間365日、何時行っても枯れていることがなく、しかも、定期的にデザインが変わります。

そういえば、TDR内にはこの花壇だけではなく、沢山の花がありますが、いつ見ても全て枯れていません。ということは、常に咲いている花を植え替えているということになります。では、それをいつやっているんでしょう?今まで100回以上入園しましたが、一度も日中に花を植え替えている姿は見たことがありません。また、TDRは365日開園していますので、休日に行うということもできません。ということはつまり、閉園から開園までの夜から朝にかけて全ての作業が行われているということになります。決して舞台裏を見せないのも、ゲストに対するおもてなしです。また、園内には、沢山の木がありますが、冬になっても落ち葉を見ることはありません。園内の木々は基本常緑樹が植えてあるからなんです。全てがTDRを建設する前から、計算づくで考えられている仕掛けです。

また、エントランスの周りには、トピアリーという、日本の盆栽のように、木を人工的にデザインし、キャラクターのように見せかけてくれる木々があり、目を楽しまさせてくれています。

 

園内に入ると、沢山のキャラクターがゲストを迎えてくれます。これも考えられた仕掛けです。

ゲストは、入園すると、少しでも早く遊びたい、アトラクションに乗りたい気持ちで、急いで行こうとします。そうなると、一度にたくさんのゲストが、狭い入口に殺到したりするようになり危ないんですね。特に小さい子供さんが一緒の家族なんかですと大変危険です。でも、キャラクターが出迎えてくれていると、一緒に写真を撮ったり、遊んだりしてくれるので、ゲストはここで一旦立ち止まってくれます。そうすると、その分ゲストが集中するのを分散することができ、危険を防ぐことができます。単純にキャストが「ここで走らないで下さい。危険ですから」というより、ずっと効果的でしかも雰囲気を壊さないやり方です。

一般的に、リスク管理というと、お客様へ負担を強いたり、手間をかけたりということで、お客様を不快な気持ちにさせることが多いのですが、TDRは、ゲストに不快ではなく、逆に楽しい気持ちにさせながら、安全性を確保していくというリスク管理のやり方が非常に上手です。この点、是非参考にしてもらいたいものです。