東京ディズニーリゾート(TDR)をビジネスの視点から分析する。

TDRは何故楽しいのか?その仕掛けをTDR好きの筆者が様々な視点からお話しします。

第12回:TDRではお弁当は食べられません!

 第9回でテーマパークと遊園地の違いをお話しましたが、もう一つ大きな違いがありました。それは、お弁当の持込です。

 それまでの遊園地では、乗り物主体のビジネスモデルですから、飲食施設が乏しかったため、お弁当を持って行って、そして、ベンチや芝生の上で家族と食べるという光景が普通でした。幼稚園や小学校低学年の遠足でも遊園地が行き先になると、お母さんの作ってくれた弁当を友達と一緒に食べるのが楽しみでした。

 しかし、アメリカでは、お弁当という風習がなかったこともあり、ディズニーランド内への飲食物の持込は禁止されていました。そこで、日本のディズニーランドにおいてもお弁当の持込が大きな検討課題となりましたが、最終的にはアメリカと同様、禁止となり、その代わりに園外にピクニックエリアを造り、お弁当を持って来た家族はそこで食べることになりました。

 

 禁止になった理由は、園内の雰囲気を壊さないためです。当初は、園内で販売する高い飲食物しか食べさせずに儲けるのが目的ではとの批判もありましたが、決してそうではなかったのです。

 

 ディズニーランドは、アメリカの文化であり、その施設はアメリカの古き良き時代を懐かしく表現しています。しかも、テーマパークですから、そのコンセプトには一貫性が求められます。ところが、そういう風景の中に、例えば、シンデレラ城の前の芝生で家族がお弁当を広げて食べるという日本的な光景が入ると、やはり違和感があり、折角の非日常的な空間が台無しになってしまいます。園内には、芝生でお弁当という光景は馴染まないのです。

 

 お弁当の禁止は、もう一つ狙いがあります。それは、リスク管理です。

 つまり、お客様が持ち込んだ弁当で食中毒でも発生した場合は、運営側としてもコントロールのしようがありません。ディズニーランドの行動基準の最も重要なことは、「Safety」であり、お客様の安全を守ることです。園内の飲食物の管理を運営側が一元管理することで、常に安全で衛生的な飲食をゲストにお届けする、そういう狙いもあります。そのためには、当然ながら、運営側に、非常に厳格な衛生管理が求められます。また、飲食物の味と価格についてもリーズナブルな物を提供していかないと、ゲストから不満が出て、ソッポを向かれることとなります。つまり、お弁当の持込禁止は、運営側にも非常に厳しい管理体制とゲストのニーズを把握するマーケティング感覚が求められるということです。

 

 現在の状況を見ると、飲食販売は、一人当たり単価の約30%を占める大きな収益源となっており、また、衛生管理についての問題も発生していないことから、うまく、運営をされているものと評価できます。これも、従来の「遊園地」の経営の発想にはなかったものであり、現在では、一つのビジネスモデルとして、テーマパークに限らず、人が大勢集まる場所での飲食施設の充実は大事な戦略の一つとなっています。