東京ディズニーリゾート(TDR)をビジネスの視点から分析する。

TDRは何故楽しいのか?その仕掛けをTDR好きの筆者が様々な視点からお話しします。

第9回:ゲストをワクワクさせる陸橋の仕掛け

前回、TDRの人気の所以をおもてなしの心と行動の差と言いましたが、それは既にパーク外から始まっています。

 

舞浜駅を出ると、改札口の左にはイクスピアリがあり、東京ディズニーランドに行くには、右へ向かうことになります。そして、駅とつながった陸橋がパークへ誘ってくれます。パークを訪れる人たちは、この陸橋を通って、入場口に向かいますが、途中には、最大のディズニーショップである「ボンボヤージ」があります。

 

陸橋を歩きはじめるとどこからか音楽が聞こえてきます。軽いリズムでノリの良いディズニー音楽です。既にパークへ行くというだけでワクワクしているゲストの気持ちを音楽の響きが一層盛り上げてくれます。でも、辺りを見回しても、スピーカーらしきものは見えません。どこから音楽が聞こえているのでしょう?その音源を探して周りを見回すと、陸橋の柱に格子になっている場所があり、そこから音楽が流れているのに気づきました。スピーカーという味気ない機器をゲストに見せないように陸橋の柱に埋め込む工夫がしてあるのです。

 

これは、園内でも同じで、植栽の陰にスピーカーが隠れていたり、箱の中にスピーカーを隠したりして、極力、機械というものが目につかないように工夫されています。これを探すだけでも、色んな発見があって楽しいものです。

 

また、その音楽自体も、パークに入る朝方と、パークから帰る夜では違います。朝方の音楽は気持ちをワクワクさせる軽い音楽が流れますし、夜の音楽は、バラードのゆったりと落ち着いた音楽で、パークの中での楽しかった余韻に浸らしてくれるのです。こういうように耳に聞こえてくる心地よい音楽と目に無機質なものを触れさせないという、人間の五感に優しい仕掛け、これもゲストが楽しさを感じる大きな要素の一つとなっています。

 

更に、普通、道路にかかっている陸橋は、掃除もしてなくて、ゴミは散らばり、手すりでもさわろうものなら真っ黒な汚れがつきますし、橋のアチコチは、所々ペンキが剥がれて斑模様になっています。しかし、ここの陸橋はそんなことはありません。手すりを見てもペンキの剥がれているような箇所はありません。良く見ると、何度も何度もペンキを塗り重ねてあることが分かります。また、手すりを触っても、スベスベで汚れが手に付くようなことは全くありません。当然、足下を見ても、ゴミ一つ落ちていません。毎日の清掃が行き届いている証拠です。そして、時にはイベントを知らせるために、手の込んだ作りの幟が、両側に整然と並べてあったりして、ワクワク感を湧き立たせてくれます。TDRでは、園内だけではなく、既に、園外から、ゲストをお迎えする体制を整えているんです。

 

普通の会社においても同じことが言えると思います。特に、レストラン等に行くと、中は綺麗でも、外が汚れていたりすると折角のハレの場が台無しになってしまいます。お客様に心の底から楽しんで頂くためには、中味だけではなく、その導入部から気を遣わなければならない、それがおもてなしだということをTDRは教えてくれているのです。