東京ディズニーリゾート(TDR)をビジネスの視点から分析する。

TDRは何故楽しいのか?その仕掛けをTDR好きの筆者が様々な視点からお話しします。

第8回:遊園地とテーマパークの違い

日本にテーマパークという概念をもたらしたのは、東京ディズニーランドでした。それまでは、「遊園地」と呼ばれていましたが、東京ディズニーランド設立以降、一定のコンセプトに基づいて作られた娯楽施設はテーマパークと呼ぶようになりました。

 

では、従来の遊園地とテーマパークと何が違うのか、経済産業省では遊園地とテーマパークの違いを次のように定義しています。

遊園地の定義

主として屋内、屋外を問わず、常設の遊戯施設(*)を 3 種類以上(直接、硬貨・メダル・カード等を投入するものを除く)有し、フリーパスの購入もしくは料金を支払うことにより施設を利用できる事業所のこと。 ※ 遊戯施設とは、コースター、観覧車メリーゴーランド、バイキング、フライングカーペット、モノレール、オクトパス、飛行塔、ミニSL、ゴーカートなどをいう。

テーマパークの定義

入場料をとり、特定の非日常的なテーマのもとに施設全体の環境づくりを行い、テーマに関連する常設かつ有料のアトラクション施設(*)を有し、パレードやイベントなどを組み込んで、空間全体を演出する事業所 ※ アトラクション施設とは、映像、ライド(乗り物)、ショー、イベント、シミュレーション、仮想体験(バーチャルリアリティ)、展示物の施設などをいう

 

つまり、遊園地は、乗り物を楽しむ施設、テーマパークは園内全体を楽しむ施設であるということであり、言い換えれば、遊園地はハード中心、テーマパークはソフト中心であるということです。ですから、遊園地は乗り物にお金をかけます。絶叫型ジェットコースターはその典型であり、如何にスリリングであるかをアピールし、集客を図るのです。一方、テーマパークは、乗り物そのものではなく、パーク全体のストーリー性を重要視し、そのストーリーを楽しませることでゲストを呼び込みます。

 

そのため、遊園地とテーマパークでは、自ずから客層の違いも生じます。遊園地は、乗り物で中心なので、どうしても対象は子供と若者ということになります。それ故、家族連れで来ても、親たちの行き場所、遊び場所がなくなってしまいます。一方、テーマパークはストーリーを楽しむ訳ですから、客層は様々で、子供や若者だけではなく、中年やお年寄りも多く来園することとなります。TDRにおいては、来園者の内訳を見ると、18歳以上の大人の割合は70%以上であり、また、40代以上の中高年の来園者も年々増加、今では20%以上になっており、大人が楽しむ場所になっています。

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更に、遊園地とテーマパークの決定的な違いは、お客様に対するサービスの違いです。遊園地は乗り物が主ですから、乗り物に魅力がありさえすれば、お客様も満足します。つまり、お客様へのサービスは乗り物の魅力なのです。しかし、テーマパークは園内全体をお客様に楽しんで頂くわけですから、乗り物だけではなく、園内の雰囲気やパレードやショー、更には飲食やショッピング等、様々なサービスを提供することで満足して頂かねばなりません。そして、そのサービスを支えるはそこで働く人々です。敢えて、「従業員」とせずに、「働く人々」と言いましたが、その理由は、お客様へサービスを提供するのは、直接お客様に接する従業員だけではなく、裏で働く従業員、何よりも重要な経営者も含めた全ての人だからです。

ここで言いたいのは、サービスの善し悪しはそういうパークで働く全ての人々のおもてなしの心と行動にかかっているということです。TDRが出来て以降、様々なテーマパークが日本各地に造られましたが、その多くは次々と廃業していき、残っているテーマパークも一部を除けば、入場者減に苦しんでいます。この理由を突き詰めていくと、結局、働く人々のおもてなしの心と行動の差に帰結します。そして、TDRが一番人気がある所以がここにある訳です。

 

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*1:昨年は、アメリカの本家のディズニーランドの開設60周年でしたので、アナハイムのディズニーランドへ行ってきました。パーク内は、TDRに比べると、キャラクター色が薄く、落ち着いた感じで、一段と大人の遊び場の色合いが強く、そのため、ゲストの層には、中高年のカップルが多かったのが非常に印象に残りました。

*2:日本の娯楽施設を区分別に例示すれば、テーマパークは言うまでもなく、TDRやUSJです。遊園地は、よみうりランド富士急ハイランドであり、絶叫マシンや恐怖のお化け屋敷等の最新マシンを次々に投入しています。また、ハウステンボスですが、ここは、いわゆるソフトハード路線と言って良いと思いますが、イルミネーション等の見せるハードで人気を博している施設といえると思います。