東京ディズニーリゾート(TDR)をビジネスの視点から分析する。

TDRは何故楽しいのか?その仕掛けをTDR好きの筆者が様々な視点からお話しします。

第5回:何故、ゲストと呼ぶの?

TDRでは、お客様のことは「ゲスト」、働く人つまり従業員のことは「キャスト」、パーク内を「オンステージ」、パーク外を「バックステージ」と呼びます。いわゆるTDR用語と言われていますが、一般の企業での呼称とは大きく異なっています。

 

では、何故、そう呼ぶのでしょう。

 

まず、お客様です。一般的に、英語でお客様のことは、「クライアント」「カスタマー」ですが、TDRでは「ゲスト」と呼びます。「クライアント」「カスタマー」は、文字通りビジネスの相手としてのお客様を指します。しかし、「ゲスト」という表現はお招きしたお客様ということ、つまり特別なお客様であり、おもてなしをして差し上げなければならないという意味が込められています。同様の呼び方をする業種にホテル等の接客業がありますが、これも、おもてなしの心でお迎えするという気持ちが呼び方に表れているんです。

 

実は、あまり気づかれてはいないんですが、そのおもてなしをしている場所を一つ挙げます。それは、TDRに入園する時の入口の地面です。パーク内の入場口は一か所(これも今後のブログで理由を述べます)ですが、そこの足元を見て下さい。地面が赤く塗られています。TDRのパンフレットを見ても、エントランス付近が赤く塗られているのが分かります。何故でしょう?

 

お客様をお招きして開くパーティー等では、カーペットを敷いてお客様をお迎えしますが、そのカーペットの色は何色ですか?そうです、赤です。TDRのエントランスの地面も赤色に塗られていますが、これは、レッドカーペットを現し、TDRがお客様をカスタマーやクライアントではなく、ゲストとしてお招きしたことを現しているんです。なかなか気づきませんが、そのさりげなさが良いですね。

 

次に、「キャスト」という呼び方です。

 

「キャスト」とは、劇等の配役のことです。何故、普通だったら従業員と呼ぶ人達にそういう呼び方をしているのでしょう。それは、TDR自体が劇を演じるステージであり、TDRで働く人たちは、そのステージでゲストを楽しませるという役割を演じなければいけないからです。「従業員」というと、文字通り作業をしている人という意味ですが、「キャスト」と呼ばれると、単に仕事をするだけではなく、お客様の為に与えられた役割を演じなければいけないんだなと自ずから感じることができます。

 

そうなると、ゲストのいる場所は「オンステージ」、ゲストがいない場所が「バックステージ」という呼び方もすんなりと理解できると思います。

 

ここで重要なのは、何故、そういう呼び方をウオルト・ディズニーはしたのかということです。それは、ウオルト・ディズニーがディズニーランドという空間を映画そのものだと考えていたからに外なりません。ですから、ゲストがまるで楽しい映画の中に居るような気持ちで園内で時間を過ごせるよう、キャストは、オンステージで与えられた役目を演じなければならないのです。ウオルトがパークを映画に見立てたという証拠は様々な場所で分かりますが、追々ご説明するということにさせて頂きます。