東京ディズニーリゾート(TDR)をビジネスの視点から分析する。

TDRは何故楽しいのか?その仕掛けをTDR好きの筆者が様々な視点からお話しします。

第3回:何故、TDRは浦安に作られたのでしょう?

 当初、日本へディズニーランドを誘致するにあたっては、様々な場所が候補に挙げられていましたが、最終的には、富士山麓と浦安の2か所に絞られました。そして、アメリカのディズニー本社も来て、空からの視察もした上で、最終的に浦安が選定されました。当時は、浦安は寂れた漁村で、当然、京葉線も通ってなく、交通の便が非常に悪かったんですが、それでも、13百万人という首都圏人口を抱え、膨大な商圏を持っている浦安が、マーケティングの面から選ばれたようです。

 

 しかし、商圏という理由以外にもう一つ大きな選定理由がありました。私としては、商圏と同じくらいに重要視されたのではないかと思っていますが、それは、背景です。

 

 第2回で述べたように、TDRの成功の秘密は非日常ということです。ですから、現実を思い出させるものは園内からは一切見えないようになっています。つまり、外界と遮断されています。TDRで一番高い建物は、ディズニーランドでは、シンデレラ城、ディズニーシーでは、プロメテウス火山です。付近にはホテルが立ち並んでいますが、いづれも建物の高さは、それらより低い高さに設定されており、園内からは一切、外の建物は見えない仕掛けになっています。また、パーク周囲にも盛り土が行われ、パーク外の全ての日常的なものが園内から見えないように視線から遮断されています。盛り土がされているのは、陸橋から降りた時に、入場口まで行こうとするとかなりの上り坂になっていることからもわかりますし、駐車場から園内は高い土が盛ってあって一切見えないようになっていることからもうかがえます。

 

 では、もし、富士山麓が選ばれていたらと考えて下さい。

 

 当然、日本一高い山ですし、回りは平野です。富士山麓という立地の魅力はその富士山の美しさをどこからでも見ることができると言うところにある訳です。ということは、ディズニーランドの園内から、日本の象徴である富士山が見えるのです。しかも、ひょっとしたら、シンデレラ城と富士山が一緒に見えるかもしれません。でも、日本の象徴の富士山と西洋の象徴のお城が同じ視線の中に入ってくるということはどうですか?違和感がありますよね。また、富士山が見えるということは、やはり、現実を思い起こさせることにもなります。ですから、浦安が選定されたということは、マーケティング戦略的な観点は勿論ありますが、私としては、ビジネスモデルを崩さないための戦略の結果だと思っています。